「事業再構築補助金」の概要について整理する

「事業再構築補助金」とは

最高1億円(諸条件あり)というかつてない規模感の「事業再構築補助金」は、コロナ禍での影響を受けた中小企業の新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編成などを目的とした補助金です。3月16日時点でまだ公募要領が出ていないのですが、経済産業省から指針となる「事業再構築補助金の概要」なるペーパーが出ています。

・ポストコロナ・ウィズコロナの時代の経済社会の変化に対応するため、中小企業等の思い切った事業再構築を支援することで、日本経済の構造転換を促すことを目的とします。
・コロナの影響で厳しい状況にある中小企業、中堅企業、個人事業主、企業組合等を対象とします。申請後、審査委員が審査の上、予算の範囲内で採択します。

経済産業省「事業再構築補助金の概要」

予算枠は1兆1485億円。事務費なども含まれると思われますが、ものづくり補助金や持続化補助金の予算規模が従前年間1,000億円、コロナ禍で拡大され2,000億〜3,000億くらいだったのがこの規模になり、インパクトが大きいことがご理解いただけると思います。

「事業再構築」とは

では「事業再構築」がどういったものか、事業再構築補助金のリーフレットに活用イメージが載っているのですが、いまいちピンときません。

経済産業省「事業再構築補助金の概要」


基本はビジネスの根幹をなす、
「誰に(ターゲット)」
「何を(商品・サービス)」
「どのように(販売方法)」
既存事業から「ガラッと変える」ことが前提です。
但し「当社ならでは」の強みを生かした上で、かつ市場の成長性や事業の収益性に十分な根拠がある(「合理的で説得力がある」)ことが採択条件となってきます。
また公募要領と同様のタイミングで各業界別の「事業再構築指針」が提示される予定です。

※3月17日、「事業再構築指針」がリリースされました。

主要申請要件

1) 売上が減っている

申請前の直近6か月間のうち、任意の3か月(連続ではない)の合計売上高が、コロナ以前(2019年又は2020年1~3月)の同3か月の合計売上高と比較して10%以上減少している。

(通常枠の場合。後述する「特別枠」では2021年1~3月のいずれかの月の売上高が、対前年または前々年の同月比で30%以上減少していることが条件)

2) 事業再構築に取り組む

事業再構築指針に沿った新分野展開、業態転換、事業・ 業種転換等を行う。

3) 認定経営革新等支援機関と事業計画を策定する

事業再構築に係る事業計画を認定経営革新等支援機関や金融機関と策定する。
補助事業終了後3~5年で付加価値額※の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0%(一部5.0%)以上増加の達成を見込む事業計画を策定する。
※「付加価値額」とは、営業利益、人件費、減価償却費を足したものを指します。

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公募スケジュール

3月下旬に公募開始予定(ギリギリになりそうです)、最初の締め切りは4月中旬。令和3年度に複数回(5次くらいとも)実施する予定となっています。

支援対象(応募可能対象)

中小企業:個人事業者を含む、中小企業基本法の定義による規模の事業者

製造業他: 資本金3億円以下の会社 又は 従業員数300人以下の会社及び個人
卸売業: 資本金1億円以下の会社 又は 従業員数100人以下の会社及び個人
小売業: 資本金5千万円以下の会社 又は 従業員数50人以下の会社及び個人
サービス業: 資本金5千万円以下の会社 又は 従業員数100人以下の会社及び個人
・大企業の子会社等の、いわゆる「みなし大企業」は支援の対象外。
・直近過去3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超える場合は、上記範疇でも中堅企業として取り扱う。
・企業組合、協業組合、事業協同組合や収益事業を行うNPO法人も支援の対象

中堅企業:「中小企業」以上の概ね資本金10億円未満の会社(調整中)

補助額

通常枠

中小企業:100万円~6,000万円 補助率 2/3
中堅企業:100万円~8,000万円 補助率 1/2(4,000万円超は1/3)

※よく聞かれるので補足しますと、「補助率2/3」は9,000万円の取り組みに対し、6,000万円補助されるというものです。

また別途この機会に大きく事業拡大を目論む事業者向けの枠もあります。

中小企業から中堅企業へ向かう「卒業枠」400社限定(→max400億円)
6,000万円~1億円 補助率 2/3

中堅企業向け「グローバルV字回復枠」100社限定(→max100億円)
8,000万円超~1億円 補助率 1/2

緊急事態宣言特別枠

今回、緊急事態宣言の影響で深刻な影響を受けた企業向けに「特別枠」も提示されています。
これはどちらかといえば早々の対応が必要となる(持続化補助金くらい?)事業者向けの内容になっています。

令和3年1~3月のいずれかの月の売上高が、対前年または前々年の同月比で30%以上減少している事業者。

従業員数 補助額
5人以下 100万円~500万円
20人以下 100万円~1,000万円
21人以上 100万円~1,500万円
補助率:中小企業:3/4 中堅企業:2/3

「特別枠」で不採択となった事業者については、加点の上、通常枠で再審査
「特別枠」の要件を満たせば、「通常枠」のみ応募した際も加点措置

事務費を除き補助金に当てられる額が1兆円と想定すると、ざっくり
9,500億円÷3,000万円(中間値)≒ 約2〜3万者が採択の可能性があると言えます。
追記:大体5万者くらいを想定しているようです。

補助対象経費

主要経費→設備投資関連

建物費(建物の建築・改修に要する経費)→不動産取得は対象外、また事業での必要性も審査対象
建物撤去費、設備費、システム購入費、リース費

関連経費→付随経費

●外注費(製品開発に要する加工、設計等)、技術導入費(知的財産権導入に係る経費)
●研修費(教育訓練費等)、広告宣伝費・販売促進費(広告作成、媒体掲載、展示会出展等)
●クラウドサービス費、専門家経費
※額面か割合で上限が設けられる予定

補助対象外

人件費、旅費、他の事業に流用可能なもの(パソコン類、自動車類)
原材料費、消耗品費、水道光熱費、通信費

事業計画に含めるべきポイント→審査項目

●現在の企業の事業、強み・弱み、機会・脅威、事業環境、事業再構築の必要性
(↓上記をもとに)
●事業再構築の具体的内容(提供する製品・サービス、導入する設備、工事等)
●事業再構築の市場の状況、自社の優位性、価格設定、課題やリスクとその解決法
(勝ち目がある)
●実施体制、スケジュール、資金調達計画、収益計画(付加価値増加を含む)
(事業期間内に実施できるかどうか、事業終了後の収益性)

再構築の必要性地域経済への貢献イノベーションの促進なども審査項目に加味される可能性があると記されています。

また「ローカルベンチマーク」の要素が入るとのことです。
「ローカルベンチマーク」は経済産業省が提供している、財務指標に加え、ビジネスモデル業務フロー商流内部・外部環境などを整理して金融機関との対話の切り口として使うことを目的にしたツールです。
つまり、自社の内外の現状をきちんと把握した上で、事業計画が立案されているかどうかが問われそうです。

補助金活用にあたって留意すること

全ての「補助金」に言えることですが、

事業実施は交付決定日以降→契約や支払はこの日以降。時系列で取引証票を求められます
(第1次募集のみ「事業着手承認制度」により、応募前に届出があれば2/15まで訴求可能、2次以降は未定)

・補助金の交付は事業終了後(繋ぎ資金の目処も審査の対象)
補助額3,000万円以上は金融機関と連携した事業計画が必要(金融機関が認定支援機関であれば要件はOK)

フォローアップが必要
事業実施後、5年間年次報告の義務(事業化の進捗、経営状況、資産管理状況、会計監査への対応など)
(卒業枠、グローバルV字回復枠では中堅企業化や付加価値額達成に一定のコミット、実現できない場合は補助金の一部返還を求められる可能性)

・全て電子申請のみ
GビズIDプライム」の取得が必要(3週間ほどかかる)
法人・個人事業主ともに印鑑証明書が必要になる

まずはGビズプライムIDの取得とローカルベンチマークを眺めてみて、計画の素案を練ってみると良いと思います。
また続報が入り次第、追記してゆきます。

ご不明点や相談がありましたら、お問い合わせフォームからお知らせください。

事業再構築補助金(第3回)変更点

7月後半よりとアナウンスされていた事業再構築補助金第3回の公募要領が7月30日に(公募開始とありますが、電子申請システムはまだオープンしておりません(受付開始は8月下旬スタートのこと)。締切は9月21日です。
第3回から、いくつかの変更点がありました。

「緊急事態宣言枠」の復活

補助率3/4(中小企業)の特別枠、第2回で終了予定が思わぬ緊急事態宣言の発令で第3回も継続することになりました。

(追加要件)

通常枠要件に加えて下記の要件を満たす必要があります。

2021年1月〜8月(従前は1〜6月だったのが伸びました)のいずれかの月の売上高が前年比、前々年対比で30%以上減少(付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)45%減少でも可)

「最低賃金枠」の創設

10月に予定される最低賃金の引き上げを見据え、てっきり賃金を上げなさいというものかと思ったのですが、経営難などから「上げられていない」事業者を対象にした枠です(別途従業員101人以上の事業者に対しては「大規模賃金引上枠」が創設されています)。
補助率はこちらも3/4(中小企業)ですが、緊急事態宣言枠と同じ枠での審査(加点される)となりそうです。

(追加要件)

・2020年10月から2021年6月までの間で、3ヶ月以上最低賃金+30円以内で雇用している従業員が全従業員の10%以上いること
2020年4月以降のいずれかの月の売上高が前年比、前々年対比で30%以上減少(付加価値額45%減少でも可)

(補助上限額)

補助上限額などは緊急事態宣言枠・最低賃金枠ともに同じです。

【従業員数5人以下】 100 万円 ~ 500 万円
【従業員数6~20 人】100 万円 ~ 1,000 万円
【従業員数21人以上】100万円 ~ 1,500万円

通常枠の補助上限額の変更

通常枠の補助上限額は今までは一律6,000万円でしたが、従業員数によって上限額が変更になりました。

【従業員数20人以下】100万円~4,000万円
【従業員数21~50人】100万円~6,000万円
【従業員数51人以上】100万円~8,000万円

また従業員101人以上は前述の「大規模賃金引上枠」で補助上限額が8,000万円〜1億円となります。

(大規模賃金引上枠 追加要件)
・補助事業実施期間の終了時点を含む事業年度から3〜5年の事業計画期間終了までの間、事業場内最低賃金を年額45円以上の水準で引き上げる
・従業員数を年率平均1.5%以上(終了年度は1.0%以上)引き上げる

売上高10%減少要件の対象期間の変更

これまで2020年10月以降だったのが、2020年4月以降の連続する6ヶ月間のうち任意の3ヶ月の合計売上高がコロナ以前の同3ヶ月の合計売上高と比較して10%以上減少していることが条件になりました。
但し、2020年10月以降の連続する6ヶ月間のうち任意の3ヶ月でも5%減少の要件も同時に満たす必要があります。

期間の選択がややこしくなりそうです。

売上高減少→売上高等減少要件に(付加価値額で評価)

今までは売上高がコロナ以前(2019年〜2020年3月)と比較して10%以上減少していることが絶対条件でしたが、この評価を付加価値額(営業利益、人件費、減価償却費を足したもの)で判定できるようになりました。

2020年4月以降の連続する6ヶ月間のうち任意の3ヶ月の合計付加価値額が2020年4月以降15%減少、2020年10月以降の連続する6ヶ月間7.5%減少していることが条件です。

ちなみに減価償却費も、設備を「購入した日から決算日までを月数で按分した金額に基づき算出することが必要」とのこと、やはりややこしいことには変わらなさそうです。

【事業再構築補助金】第1回公募 通常枠・卒業枠・グローバルV字回復枠 採択結果(頻出語分析)

事業再構築補助金の第1回公募の一般枠・卒業枠・グローバルV字回復枠の採択結果が6月18日(火)18:00に発表されました(が、しばらくの間サーバがダウンしておりました)。

事業再構築補助金について、申請受付締切りである5月7日までに17,050者(要件を満たした申請件数14,913者)の応募がありました。上記について、厳正な審査を行った結果、5,150者を採択することと決定いたしましたのでお知らせします。

事業再構築補助金ホームページ https://jigyou-saikouchiku.jp/result.php

採択率は要件不備込で30.2%、抜きで34..5%と、1/3くらいの採択率でした。また緊急事態宣言特別枠で採択にならなかった申請も再審査するとの触れ込みでしたが、一般枠での採択はゼロでした。

今回も採択公表ページ内に採択者の事業概要のタイトルと詳細(応募時に100文字くらいで書く必要があります)が公開されており、またテキストマイニングツールの「KH Coder」で頻出語を抽出してみました。

頻出語(上位150語)左:タイトル 右:事業計画

クラスター図

【事業再構築補助金】第1回公募 緊急事態宣言枠 採択結果(頻出語分析)

事業再構築補助金の第1回公募の緊急事態宣言枠の採択結果が6月15日(火)18:00に発表されました。
(18日に第1回の一般枠の採択結果も発表されました)

事業再構築補助金について、申請受付締切りである5月7日までに5,181者(要件を満たした申請件数4,326者)の応募がありました。上記について厳正な審査を行った結果、2,866者を採択することと決定いたしましたのでお知らせします。

事業再構築補助金ホームページ https://jigyou-saikouchiku.jp/result.php

採択率は要件不備込で55.3%、抜きで66.3%と、大体1/6が要件不備、2/6が不採択、3/6が採択となりました。

今回採択公表ページ内に採択者の事業概要のタイトルと詳細(応募時に100文字くらいで書く必要があります)が公開されていたので、テキストマイニングツールの「KH Coder」を使わせていただき、頻出語などを抽出してみました。

頻出語(上位150語)左:タイトル 右:事業計画

クラスター図

なんとなくではありますが、どういうものが採択されたかのご参考としていただければと思います。

【事業再構築補助金】「事業再構築指針の類型」を読み解く

新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換???

事業再構築補助金の応募にあたり、事業再構築の「類型」を選択し、それに合った要件を満たす計画であることを示す必要があります。
(事業再編はこれらの類型のいずれか+組織再編となります)
主たる事業を変更するとか、しないとか、業種を変更せずに事業を変更するとか、わけが分からなくなりそうだったので整理してみました。

どの程度売上を「再構築」するか

事業再構築類型

ざっくり結論から言うと、事業再構築の結果、
売上構成比が新事業が一番多くなる
↓YES
全く分野が違う
 →YES 業種転換(標準産業分類の大分類、製造業→卸小売業)
 →NO 事業転換 (標準産業分類の中分類〜細分類、飲食業は変わらず、焼肉屋→ラーメン屋)
↓NO
新しい商材で新しい顧客を開拓する
 → 新分野展開
↓NO
製造方法、提供方法を変える
 → 業態転換
となりそうです。

※初出時、業種転換と事業転換が逆になっていたのを修正しました。

「思い切った大胆な事業の再構築」「選択と集中」が審査ポイント

但し審査項目の(3)再構築点の①で「全く異なる業種への転換など、リスクの高い、思い切った大胆な事業の再構築を行うものであるか」とあり、配点は事業転換 ≒ 業種転換 > 新分野展開 > 業態転換 となることが予想されます(配点要素の1項目になると思われますが)

また、③で「市場ニーズや自社の強みを踏まえ、「選択と集中」を戦略的に組み合わせ、リソースの最適化を図る取組であるか」ともあり、「新しいものを加える」と言うよりは「寄せてゆく」事業にフォーカスされていることもわかります。

類型ごとの例を読み解く

業種転換

(賃貸業)

レンタカー事業を営んでいる事業者が、新たにファミリー向けのコロナ対策に配慮した貸切ペンション を経営し、レンタカー事業と組み合わせた宿泊プランを提供することで、3年間の事業計画期間 終了時点において、貸切ペンション経営を含む業種の売上高構成比が最も高くなる計画

(参考)日本標準産業分
【大分類】…K不動産業、物品賃貸業 …M宿泊業,飲食サービス業…(レンタカー事業は物品賃貸業、ペンションは宿泊業)

出典:経済産業省 事業再構築補助金 事業再構築指針の手引き(以下同様)
  • 貸切ペンション経営を営んだことがない(①-1)
  • 新たに建物改修等が必要(①-2)
  • 提供するサービスが異なり、定量的に性能又は効能を比較することが難しい(①-3)
  • 貸切ペンション経営を始めたことで、レンタカー事業の需要が代替され、売上高が減少するといった影響が見込まれない(むしろ相乗効果により増加する)(②)
  • 3年間の事業計画期間終了時点において、ペンション経営を含む業種の売上構成比が最も高くなる計画を策定(④)

※各要件の採番は「【事業再構築補助金】事業再構築指針2.0版がリリース(3月29日付)」の要件整理表に準じます。

(製造業)

コロナの影響も含め、今後ますますデータ通信量の増大が見込まれる中、生産用機械の製造業を 営んでいる事業者が、工場を閉鎖し、跡地に新たにデータセンターを建設し、5年間の事業計画期間終了時点において、データセンター事業を含む業種の売上高構成比が最も高くなる計画

(参考)日本標準産業分類
【大分類】…E製造業、 …G情報通信業…(データセンターは情報通信業)

  • データセンター事業を営んだことがない(①-1)
  • 新たにデータサーバの購入等が必要(①-2)
  • 異なる製品(サービス)であり、定量 的に性能又は効能(強度や軽さ等)を比較することが難しいことを示す(①-3)
  • 新たにデータセンター事業を始めたことで、生産用機械の需要が代替され、売上高が減少するといった影響が見込まれない(②)
  • データセンター事業を含む業種の売上構成比が最も高くなる計画を策定(④)

1番インパクトはあるのですが、V字回復に向けた強みの活用などの説明が難しそうです(相乗効果が期待できれば良いのですが、食い合ってしまうのはNG)

事業転換

(飲食サービス)

日本料理店が、換気の徹底によりコロナの感染リスクが低いとされ、足元業績が好調な焼肉店を 新たに開業し、3年間の事業計画期間終了時点において、焼肉事業の売上高構成比が、 標準産業分類の細分類ベースで最も高い事業となる計画

(参考)日本標準産業分類 【大分類】M宿泊業、飲食サービス業⇒【中分類】76飲食店⇒【小分類】762専門料理店 ⇒【細分類】7621日本料理店…7623中華料理店、7624ラーメン店、7625焼肉店…(細分類ベースで事業転換)

  • 焼肉店を営んだことがない(①-1)
  • 新たに卓上備え付けのロースター等の設備や内装の改装などが必要(①-2)
  • 商品が異なり、定量的に性能又は効能 を比較することが難しいことを示す(①-3)
  • 大衆向けの日本料理店が高価格帯の焼肉店を始め、異なる顧客のニーズに応えるもの、売上高が減少するといった影響が見込まれない(②)
  • 焼肉事業の売上構成比が、日本標準産業分類細分類ベースで最も高くなる計画を策定(④)

(製造業)

プレス加工用金型を製造している下請事業者が、業績不振を打破するため、これまで培った金属 加工技術を用いて、新たに産業用ロボット製造業を開始し、5年間の事業計画期間終了時点において、産業用ロボット製造業の売上高構成比が、日本標準産業分類の細分類ベースで最も高い事業となる計画を策定している場合

(参考)日本標準産業分類 【大分類】E製造業⇒【中分類】生産用機械器具製造業⇒【小分類】269その他の生産用機械・同部分品製造業 ⇒【細分類】2691金属用金型・同部分品・附属品製造業…2694ロボット製造業…(細分類ベースで事業転換)

  • 新たに製造する産業用ロボットが、過去に製造した実績のない部品(①-1)
  • プレス加工用金型専用の生産設備とは異な る専用の生産設備が新たに必要であり、当該設備を導入(①-2)
  • 異なる部品のため、定量的に性能又は効能(強度や軽さ等)を比較することが難しいことを示す(①-3)
  • プレス加工用金型の需要が代替され、売上が減少することは見込まれない(②)
  • ロボット製造業の売上構成比が、日本標準産業分類細分類ベースで最も高くなる計画を策定(④)

これが強みなどを活かす上で1番しっくりする気がしますが、売上構成比を1番大きくするくらい再構築しなければならないので、かなり戦略的になってきます。

新分野展開

(製造業)

航空機用部品を製造していた製造業者が、業界全体が業績不振で厳しい環境下の中、新たに医療機器部品の製造に着手し、5年間の事業計画期間終了時点で、医療機器部品の売上高が 総売上高の10%以上となる計画

  • 過去に製造した実績のない部品(①-1)
  • 航空機専用の生産設備とは異なる専用の 生産設備が新たに必要であり、当該設備を導入(①-2)
  • 定量的に性能又は効能(強度や軽さ等)を比較することが難しいことを示す、もしくは性能(強度や軽さ等)を比較することが可能な場合には、差異を定量的に説明する(①-3)
  • 用途が異なり、売上が減少することは見込まれない(②)
  • 医療機器部品の売上高が総売上高の10%以上となる計画を策定(③)

(不動産業)

都心部の駅前にビジネス客向けのウィークリーマンションを営んでいたが、テレワーク需要の増加を踏まえて、客室の一部をテレワークスペースや小会議室に改装するとともにオフィス機器を導入し、3年間の事業計画期間終了時点で、当該レンタルオフィス業の売上高が総売上高の10%以上となる計画

  • レンタルオフィス業を営んだことがない(①-1)
  • 新たに客室の改装やオフィス機器の導入が必要(①-2)
  • 提供するサービスの種類が 異なり、定量的に性能又は効能を比較することが難しい(①-3)
  • レンタルオフィスを始めたことで、ウィークリーマンションの需要が代替され、売上高が減少するといった影響が見込まれない(②)
  • レンタルオフィス業の売上高が 総売上高の10%以上となる計画を策定(③)

売上構成は主力を凌ぐほどではないけれども、新しい商材(何を)、顧客(誰に)を開拓する取り組みになります。インパクト出すためには相乗効果で現業の売上も伸ばせるような施策が必要そうです。

業態転換

(ヨガ教室)

ヨガ教室を経営していたところ、コロナの影響で顧客が激減し、売上げが低迷していることを受け、サービスの提供方法を変更すべく、店舗での営業を縮小し、オンラインサービスを新たに開始し、オンラインサービスの売上高が3年間の事業計画期間終了後、総売上高の10%以上を占める計画

  • オンラインサービスを営んだ実績がない(⑤-1)
  • 新たに配信機材等を導入する必要がある(⑤-2)
  • 1回当たりの提供コスト等、生産効率がどの程度改善しているか等を示す(⑤-3)
  • オンラインサービスの売上高が、総売上高の10%以上となる計画を策定(③)
    (商品の新規性要件)例えば、ヨガに加えて、新たにエアロビクスを始める場合
  • 過去にエアロビクスのサービスを提供したことがない(①-1)
  • 新たに大型ミラーの設置や防音設備等が必要(①-2)
    →⑤は提供方法に対して、①は提供サービスに対してと思われます
  • ヨガとエアロビクスは、異なるサービスであり、定量的に性能又は効能を比較することが難しいことを示す(①-3)
    (or設備撤去要件)
  • 店舗の営業を縮小するに際して、既存設備を撤去する(⑥)

(製造業)

健康器具を製造している製造業者が、コロナの感染リスクを抑えつつ、生産性を向上させることを 目的として、AI・IoT技術などのデジタル技術を活用して、製造プロセスの省人化を進めるとともに、削減が見込まれるコストを投じてより付加価値の高い健康器具を製造し、新たな製造方法による売上高が、5年間の事業計画期間終了後、総売上高の10%以上を占める計画

  • 今回導入しようとしているAI・IoT技術などのデジタル技術を活用した省人化による方法で、製品を製造した実績がない(⑤-1)
  • AI・IoT技術などのデジタル技術に関する専用の設備が新たに必要(⑤-2)
  • 新たに導入した製造方法により、1個当たりの製造コスト等、生産効率がどの程度改善しているか等を示す(⑤-3)
  • これまでに製造した健康器具と同じ健康器具ではない(①-1)
  • 既存プロセスのコストを抑えるため、省人化に関するAI・IoT技術などのデジタル技術に関する専用の設備が新たに必要であり、当該設備を導入(①-2)
  • 新たに製造する健康器具と既存の健康器具との性能(健康効果等)の違いを説明する(①-3)
  • 新たな製造方法で製造した新たな健康器具が、総売上高の10%以上となる計画を策定(③)

「誰に、何を、どのように」の「どのように」の部分(製造方法・提供方法)を変える取り組みです。
一番これが取り組みやすそうですが、インパクト(売上拡大の根拠)をどのように出すのかが勝負どころになりそうです。
また製品の場合は主要製品設備の製造方法の変更が①も⑤も当てはまりますが、サービス業の場合だと「サービスの提供方法」と「サービス」自体両方に何らかの設備投資が必要と読み取れます。

読み解いているうちに、「業態転換」は「コロナ特別枠」への配慮のような気がしてきました。スピード感ある取り組みであることや切羽詰まっていることをどう示せるか、にかかってきそうです。

【事業再構築補助金】公募要領が出ました

事業再構築補助金の公募要領出ましたが・・・

事業再構築補助金の公募要領が3月29日にリリースされました。
公募は既に開始となっているのですが、実質応募にあたる申請は4月15日(木)より電子申請システムにて開始されます。応募締切4月30日(金)18:00です。

大枠は「事業再構築補助金の概要について整理する」に記載した通りですが、ここでは応募にあたり公募要領の中で注意すべき点をピックアップして説明しています。

事業計画書の構成

事業計画書の構成は「ものづくり補助金」と同様、「1:補助事業の具体的取組内容」と「2:将来の展望(事業化に向けて想定している市場及び期待される効果)」「3:本事業で取得する主な資産」「4:収益計画」となっています。

様式自由?!→様式リリースされました

(4月2日追記)電子申請時に必要な入力項目が入った様式が事務局ホームページにリリースされました。
ものづくり補助金のフォーマットに今回の申請に必要な要素が加わった感じです。

なんと「※ Word 等で作成の上、PDF 形式に変換した電子ファイルを電子申請システムの所定の場所に添付してください(様式自由)。」となっています。
ものづくり補助金のフォーマットに準じて進めても良いかもしれません。
(ものづくり補助金 参考様式)ページ中段「公募要領・よくあるご質問」内にあります。
https://portal.monodukuri-hojo.jp/about.html

1:補助事業の具体的取組内容

現在の事業の状況、強み・弱み、機会・脅威、事業環境、事業再構築の必要性、事業再構築の具体的内容(提供する製品・サービス、導入する設備、工事等)、今回の補助事業で実施する新分野展開や業態転換、事業・業種転換等の取組、事業再編又はこれらの取組について具体的に記載してください。
事業実施期間内に投資する建物の建設・改修等の予定、機械装置等の型番、取得時期や技術の導入や専門家の助言、研修等の時期についても、可能な限り詳細なスケジュールを記載してください。
※必要に応じて、図表や写真等を用いて、具体的に記載してください。

応募申請する枠(通常枠、卒業枠、グローバルV字回復枠、緊急事態宣言特別枠)と事業再構築の種類(「事業再編型」、「業態転換型」、「新分野展開型」、「事業転換型」、「業種転換型」)に応じて、「事業再構築指針」に沿った事業計画を作成してください。どの種類の事業再構築の類型に応募するか、どの種類の再構築なのかについて、事業再構築指針とその手引きを確認して記載してください。

③ 補助事業を行うことによって、どのように他者、既存事業と差別化し競争力強化が実現するかについて、その方法や仕組み、実施体制など、具体的に記載してください。

④ 既存事業の縮小又は廃止、省人化により、従業員の解雇を伴う場合には、再就職支援の計画等の従業員への適切な配慮の取組について具体的に記載してください。

2:将来の展望(事業化に向けて想定している市場及び期待される効果)

① 本事業の成果が寄与すると想定している具体的なユーザー、マーケット及び市場規模等について、その成果の価格的・性能的な優位性・収益性や課題やリスクとその解決方法などを記載してください。

3:本事業で取得する主な資産

① 本事業により取得する主な資産(単価50万円以上の建物、機械装置・システム等)の名称、分類、取得予定価格等を記載してください。(補助事業実施期間中に、別途、取得財産管理台帳を整備していただきます。)

4:収益計画

① 本事業の実施体制、スケジュール、資金調達計画等について具体的に記載してください。
② 収益計画(表)における「付加価値額」の算出については、算出根拠を記載してください。
③ 収益計画(表)で示された数値は、補助事業終了後も、毎年度の事業化状況等報告等において伸び率の達成状況の確認を行います。

審査・加点項目

審査項目もものづくり補助金に準じた部分が多いですが、ものづくり補助金が「技術面・事業化面」となっていたのに対し、「事業化面・再構築面」と再構築する事業の内容で審査されます。
但し「事業再構築指針に沿っているか」も審査項目の1項目となっているのと、「思い切った大胆な事業の再構築」という内容も加味されており、「事業再構築指針」は過度に意識しすぎる必要はなく、ものづくり補助金における「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」の位置付けかもしれません。

審査項目・加点項目

(1)補助対象事業としての適格性

「4.補助対象事業の要件」を満たすか。補助事業終了後3~5年計画で「付加価値額」年率平均3.0%((【グローバル V 字回復枠】については 5.0%))以上の増加等を達成する取組みであるか。

(2)事業化点

① 本事業の目的に沿った事業実施のための体制(人材、事務処理能力等)や最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか。また、金融機関等からの十分な資金の調達が見込めるか。
② 事業化に向けて、競合他社の動向を把握すること等を通じて市場ニーズを考慮するとともに、補助事業の成果の事業化が寄与するユーザー、マーケット及び市場規模が明確か。市場ニーズの有無を検証できているか。
③ 補助事業の成果が価格的・性能的に優位性や収益性を有し、かつ、事業化に至るまでの遂行方法及びスケジュールが妥当か。補助事業の課題が明確になっており、その課題の解決方法が明確かつ妥当か。
④ 補助事業として費用対効果(補助金の投入額に対して増額が想定される付加価値額の規模、生産性の向上、その実現性等)が高いか。その際、現在の自社の人材、技術・ノウハウ等の強みを活用することや既存事業とのシナジー効果が期待されること等により、効果的な取組となっているか。

(3)再構築点

事業再構築指針に沿った取組みであるか。また、全く異なる業種への転換など、リスクの高い、思い切った大胆な事業の再構築を行うものであるか。
② 既存事業における売上の減少が著しいなど、新型コロナウイルスの影響で深刻な被害が生じており、事業再構築を行う必要性や緊要性が高いか。
③ 市場ニーズや自社の強みを踏まえ、「選択と集中」を戦略的に組み合わせ、リソースの最適化を図る取組であるか。
先端的なデジタル技術の活用、新しいビジネスモデルの構築等を通じて、地域のイノベーションに貢献し得る事業か。

(4)政策点

① 先端的なデジタル技術の活用、低炭素技術の活用、経済社会にとって特に重要な技術の活用等を通じて、我が国の経済成長を牽引し得るか。
② 新型コロナウイルスが事業環境に与える影響を乗り越えて V 字回復を達成するために有効な投資内容となっているか。
③ ニッチ分野において、適切なマーケティング、独自性の高い製品・サービス開発、厳格な品質管理などにより差別化を行い、グローバル市場でもトップの地位を築く潜在性を有しているか。
④ 地域の特性を活かして高い付加価値を創出し、地域の事業者等に対する経済的波及効果を及ぼすことにより雇用の創出や地域の経済成長を牽引する事業となることが期待できるか。
⑤ 異なるサービスを提供する事業者が共通のプラットフォームを構築してサービスを提供するような場合など、単独では解決が難しい課題について複数の事業者が連携して取組むことにより、高い生産性向上が期待できるか。また、異なる強みを持つ複数の企業等(大学等を含む)が共同体を構成して製品開発を行うなど、経済的波及効果が期待できるか。

(5)加点項目

【令和3年の国による緊急事態宣言の影響を受けた事業者に対する加点】
① 令和3年の国による緊急事態宣言に伴う飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛等により影響を受けたことにより、2021 年 1 月~3 月のいずれかの月の売上高が対前年(又は対前々年)同月比で 30%以上減少していること。
② 上記①の条件を満たした上で、2021 年 1 月~3 月のいずれかの月の固定費(家賃+人件費+光熱費等の固定契約料)が同期間に受給した協力金の額を上回ること。

引き続き読み込んだ上で情報加えてゆきたいと思います。

【事業再構築補助金】事業再構築指針2.0版がリリース(3月29日付)

3月29日に事業再構築補助金「事業再構築」とは何かを定義する、「事業再構築指針」が2.0版に、「事業再構築指針の手引き」も1.1版にアップデートされました。

要件をまとめた表もアップデートしました。
(2021.4.2 追記:事業転換と業種転換の「市場新規性」要件が抜けていましたので追記しました)

事業再構築指針まとめ表(PDFはこちらから)

主な変更点としては下記の通りです。

同業他社ではなく、自社にとっての新規性になった

「製品等の新規性要件」から「同業他社の多くが既に製造(提供)しているものでないこと」が削除、
「製造方法の新規性要件」から「競合他社の多くが既に製品等を製造等するのに用いている製造方法等ではないこと」が削除され、自社にとって新しいものであれば良いとされました。

ニーズを食いあわないことの記載がシンプルに

「市場の新規性要件」から「既存製品等と新製品等の顧客層が異なる」の記載がなくなりました。
但しこの項目はもともと加点要素の任意要件であり、「既存製品等と新製品等の代替性が低い(顧客がかぶらない、需要を食いあわない)」と被ることから削除されたと考えるのが良いでしょう。

「業態転換」枠の要件が一部変更になった

「業態転換」枠(業種を変えずに製造方法、提供方法(売り方)を変える)で求められる要件が、

製造方法を変える場合:製造方法の新規性要件、製品等の新規性要件、売上10%要件
提供方法を変える場合:提供方法の新規性要件、製品等の新規性要件or設備撤去、売上10%要件

となり、製造(提供)方法の新規性が必須になったのと、「設備撤去もしくは生産性向上のためのデジタル活用」だったのが「設備撤去」のみになりました。

また、「製品等の新規性要件」で示す必要のある「定量的に性能又は効能が異なること(製品等の性能や効能が定量的に計測できる場合に限る。)」が、定量的に示せない場合は「比較することが難しい」ことを改めて事業計画内で明示的に示す必要があることが記載されました。

補助金採択に向けて必要なこと(基本編)

採択のための基本のき

補助金で採択(合格)されるために、まず抑えておきたいことをまとめてみました。

・実施する計画はそもそも「事業の目的」に沿っているか

「補助金」は要件が整っていれば支給される「給付金」とは違い、必ずもらえるものではなく審査員による審査があります。
審査によって点数がつけられ、合否が決まります。
採択率(合格率)は応募件数と予算の兼ね合いで決まりますが。点数が高いことに越したことはありません。

そのため応募にあたっては、実施したいことが補助金の目的に沿っているかどうか、まず確認しましょう(大抵、公募要領の冒頭に書かれています)。
「販路拡大」が目的なのに売る取り組みがない、とか「新製品・サービスの開発」なのに新規性がない、とかよくあります。

・審査項目も全て応募要領に書かれている

どの補助金にも応募の手引き(公募要領)があり、その中に審査項目が書かれています。
逆を返せば審査員にも「この観点で点数を付けてください」としか伝えられていないことが多いです。
そもそも求められていることが書かれていなければ、その項目は0点になってしまいます。

・誰が読んでも話がわかるか

  • × 専門用語が多い
  • × 話の途中が飛んでしまっている(論旨の飛躍)
  • × 同情を引くのはプラスにはならない

イメージできるよう写真や図表はふんだんに盛り込むべきです。
また話が伝わるかどうか、できれば内情を知らない外部の人に見てもらうのが良いと思います。
何も知らない相手に説明するつもりで作成する必要があります。
基本的にはビジネスの内容を精査するものなので、「がんばります」とかの精神論やお涙頂戴で同情は引きづらいと思っていただいた方が良いでしょう(審査員にもよるかもしれませんが)。

・数字に根拠があるか

言っていることが本当に実現できるのか、相手(審査員)を説得可能な、事業の実現可能性の「根拠」が必要になります。例えば、
売上:ニーズ、販売先、市場規模、今後の動向(統計や業界データなど)
技術・強み:(定量的に)こういうことをこれまでやってきた、こういうことができる

加点要素で抑えられるものは抑えよう

点数を上げられる要素として、経営力向上計画(少しハードルは上がりますが、経営革新計画も)、事業継続力強化計画、賃上げ(要件になっている場合も)などがあります。

時間的に間に合いそうなものなら取得することをお勧めします。

専門家を効果的に利用しよう

自分のことを自分で(文章で)説明しなければならない、自分では抜け・漏れが見つけづらい、そもそも補助金や申請などに慣れていない・・・という方は、第三者の視点で診てくれる専門家と頭の整理をしてみることもお勧めします。

事業再構築指針がリリース【事業再構築補助金】

3月17日の夕方に事業再構築補助金の事業計画のベースとなる「事業再構築指針」がリリースされました。

※3月29日に事業再構築指針の第2版がリリースされています。

事業再構築指針の手引き(経済産業省)

新分野展開?事業転換?業種転換?業態転換???

色々分類があり少しややこしかったので、一度全体像を表にしてみました。
各分類ごとに必要な要件をまとめています。
追って解説も追記したいと思います。

PDFも一応貼っておきます。

小規模事業者持続化補助金とは

「販路拡大」に取り組む従業員数が20人以下(商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)は5人以下)の「小規模事業者」のが応募できる補助金です。
また賃上げ、事業承継、過疎地域での加点に加え、電子申請による加点要素が加わりました。併せて「経営力向上計画加点」が復活しています。

基本的に補助上限金額は50万円、補助率2/3と小粒ではありますが、設備投資に依らない取り組み(広告宣伝費や展示会出展、調査費用などの委託費、店舗改装などの外注費なども対象となっている比較的使いやすい補助金です。
但し応募にあたり、商工会議所・商工会の「事業支援計画書」が必要です(会員である必要はありませんが、会議所・商工会に相談する必要はあります)。
※コロナ対応(非対面ビジネスの展開など)の「事業再開枠」は第4回で終了しました。

令和2年度より定期的に締切が設けられ、令和2年3月31日よりこれまで4回の締切、令和4年3月まで予定されています。
(また審査に3〜4ヶ月時間がかかっています)

第5回受付締切:6月4日(金)
第6回受付締切:10月1日(金)
第7回受付締切:2022年2月4日(金)

(採択に向けたポイントなど追記予定です)

ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)とは

「革新的な取り組みに向けた「設備投資」に特化した補助金

「革新的」なサービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援。補助上限額 1,000万円(一般型。補助率 中小企業 1/2、小規模企業者・小規模事業者 2/3、低感染リスク型ビジネス枠(非対面型ビジネスモデルなどの取り組み) 2/3)

「ものづくり」と銘打たれていますが、製造業だけでなく商業・サービス業の「革新的」な取り組みにも適用可能です。製造業は「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」、商業・サービス業は「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」に沿った取り組みであることが求められます。

生産性、収益性を向上させる「新しい」取り組みに対しての補助金です。平成24年度より継続的に実施されています。そのため複数回採択されている事業者も多いですが、複数回採択は減点要素となっています。

昨年度より複数回公募が実施されており、4月15日(木)より6次締め切りの申請開始です(〜5月13日締切予定)。

「補助金採択に向けて必要なこと」で挙げている採択に向けたポイントについて整理してみます。

ものづくり補助金採択に向けたポイント

「事業の目的」に沿っているか

中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行い生産性を向上させるための設備投資等を支援する。

令和元年度補正・令和二年度補正ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領〔一般型(新特別枠含む)・グローバル展開型〕(6次締切分)

「審査項目」で問われていることに応えているか

(1)補助対象事業としての適格性
「4.補助対象事業の要件」を満たすか。3~5年計画で「付加価値額」年率平均3%以上の増加等を達成する取組みであるか。なお、「応募者の概要」に記載いただいた内容は、審査に考慮されません。

(2)技術面
① 新製品・新サービス(既存技術の転用や隠れた価値の発掘(設計・デザイン、アイデアの活用等を含む))の革新的な開発となっているか。「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」又は「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」に沿った取組みであるか(グローバル展開型では、地域内での革新性だけではなく、国際競争力を有しているか)。

→ガイドライン、指針に沿っていることはもちろんですが、「革新性」を伴っていることが最重要です。但し導入設備の革新性だけでなく、自社の「強み」がどのようなもので、これをどのように磨き上げてゆく計画かを説明する必要があります。

② 試作品・サービスモデル等の開発における課題が明確になっているとともに、補助事業
の目標に対する達成度の考え方を明確に設定しているか。

→自社の強みの磨き上げにあたり、どのような点が不足しているか、取り組まなければならないことは何か(課題)整理できていること、及びどのようなステップで課題を解決してゆくかが段階的に検討されているか、が問われています。

③ 課題の解決方法が明確かつ妥当であり、優位性が見込まれるか。

→②のステップごとの課題に対してそれぞれ対処策は検討されているか、実現可能性はどうか、解決することで当社の強みの強化に繋がるか、などを網羅する必要があります。

④ 補助事業実施のための技術的能力が備わっているか。

→当社の強みが何によって培われたもので、これをどのように強化・発展させられるか、その可能性や根拠について記述が求められています。

(3)事業化面
① 補助事業実施のための社内外の体制(人材、事務処理能力、専門的知見等)や最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか。金融機関等からの十分な資金の調達が見込まれるか(グローバル展開型では、海外展開に必要な実施体制や計画が明記されているか)。

→単に担当者や取引先が書かれていることも多いですが、どのようなプロジェクトチームでどのように(PDCAが回せるような)計画を実行してゆくのか具体的な記載が欲しいです。
また手元現金不足など財務面での不安要素がある場合は、金融機関との連携状況についても詳しく書くべきでしょう。

② 事業化に向けて、市場ニーズを考慮するとともに、補助事業の成果の事業化が寄与するユーザー、マーケット及び市場規模が明確か。クラウドファンディング等を活用し、市場ニーズの有無を検証できているか(グローバル展開型では、事前の十分な市場調査分析を行っているか)。

→買い手は誰で、どの程度見込みがあるのか、市場からどのようなニーズがあり、どのように答えてゆくのか、具体的な数値や根拠とともに統計データも交えて、市場性について説明することが求められます(クラウドファンディングは任意要件で加点対象です)。

③ 補助事業の成果が価格的・性能的に優位性や収益性を有し、かつ、事業化に至るまでの遂行方法及びスケジュールが妥当か。

→強みを強化した結果、価格的・性能的にどの程度「定量的」に他社と比較して優位性があるのかを記入します。
スケジュールについてもなんとなくガントチャートが引かれていることが多いですが、上記の課題解決段階や市場開拓に対して呼応するものだと良いです。

④ 補助事業として費用対効果(補助金の投入額に対して想定される売上・収益の規模、その実現性等)が高いか。

→投資回収がどれくらいの期間で設定されているか、売上・利益の伸びに無理がなく積算や根拠に基づいたものかなど、計画数値の緻密さが問われます。

(4)政策面
① 地域の特性を活かして高い付加価値を創出し、地域の事業者等や雇用に対する経済的波及効果を及ぼすことにより地域の経済成長を牽引する事業となることが期待できるか(グローバル展開型では、事業の成果・波及効果が国内に環流することが見込まれるか)。
② ニッチ分野において、適切なマーケティング、独自性の高い製品・サービス開発、厳格な品質管理などにより差別化を行い、グローバル市場でもトップの地位を築く潜在性を有しているか。
③ 異なるサービスを提供する事業者が共通のプラットフォームを構築してサービスを提供するような場合など、単独では解決が難しい課題について複数の事業者が連携して取組むことにより、高い生産性向上が期待できるか。また、異なる強みを持つ複数の企業等(大学等を含む)が共同体を構成して製品開発を行うなど、経済的波及効果が期待できるか。
④ 先端的なデジタル技術の活用、低炭素技術の活用、経済社会にとって特に重要な技術の活用、新しいビジネスモデルの構築等を通じて、我が国のイノベーションを牽引し得るか。
⑤感染拡大を抑えながら経済の持ち直しを図り、ウィズコロナ・ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環を実現させるために有効な投資内容となっているか[低感染リスク型ビジネス枠のみ]

政策面については各地方の経済産業局による審査が行われ、計画が政策に沿ったものであるかどうかが判断されます。

加点要素(減点要素)

(5)加点項目
① 成長性加点:「有効な期間の経営革新計画の承認を取得した(取得予定の)事業者」
② 政策加点:「創業・第二創業後間もない事業者(5年以内)」
③ 災害等加点:「有効な期間の事業継続力強化計画の認定を取得した(取得予定の)事業者」
④ 賃上げ加点等:
④-1:「事業計画期間において、給与支給総額を年率平均2%以上増加させ、かつ、事業場
内最低賃金を地域別最低賃金+60円以上の水準にする計画を有し、従業員に表明している事業者」、又は、「事業計画期間において、給与支給総額を年率平均3%以上増加させ、かつ、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+90円以上の水準にする計画を有し、従業員に表明している事業者」
④-2:「被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業が制度改革に先立ち任意適用に取り組む場合」
※ 最大5項目の加点が可能(添付書類点数は最大4点)。
※ 加点項目については、エビデンスとなる添付書類を提出し、各要件に合致した場合にのみ加点されます。
(6)減点項目
過去3年間に、類似の補助金※の交付決定を受けていた場合、交付決定の回数に応じて減点。
※ 平成29年度補正ものづくり・商業・サービス経営力向上支援事業、平成30年度補正ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業、令和元年度補正・令和二年度補正ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業。