ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)とは

「革新的な取り組みに向けた「設備投資」に特化した補助金

「革新的」なサービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援。補助上限額 1,000万円(一般型。補助率 中小企業 1/2、小規模企業者・小規模事業者 2/3、低感染リスク型ビジネス枠(非対面型ビジネスモデルなどの取り組み) 2/3)

「ものづくり」と銘打たれていますが、製造業だけでなく商業・サービス業の「革新的」な取り組みにも適用可能です。製造業は「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」、商業・サービス業は「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」に沿った取り組みであることが求められます。

生産性、収益性を向上させる「新しい」取り組みに対しての補助金です。平成24年度より継続的に実施されています。そのため複数回採択されている事業者も多いですが、複数回採択は減点要素となっています。

昨年度より複数回公募が実施されており、4月15日(木)より6次締め切りの申請開始です(〜5月13日締切予定)。

「補助金採択に向けて必要なこと」で挙げている採択に向けたポイントについて整理してみます。

ものづくり補助金採択に向けたポイント

「事業の目的」に沿っているか

中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行い生産性を向上させるための設備投資等を支援する。

令和元年度補正・令和二年度補正ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公募要領〔一般型(新特別枠含む)・グローバル展開型〕(6次締切分)

「審査項目」で問われていることに応えているか

(1)補助対象事業としての適格性
「4.補助対象事業の要件」を満たすか。3~5年計画で「付加価値額」年率平均3%以上の増加等を達成する取組みであるか。なお、「応募者の概要」に記載いただいた内容は、審査に考慮されません。

(2)技術面
① 新製品・新サービス(既存技術の転用や隠れた価値の発掘(設計・デザイン、アイデアの活用等を含む))の革新的な開発となっているか。「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」又は「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」に沿った取組みであるか(グローバル展開型では、地域内での革新性だけではなく、国際競争力を有しているか)。

→ガイドライン、指針に沿っていることはもちろんですが、「革新性」を伴っていることが最重要です。但し導入設備の革新性だけでなく、自社の「強み」がどのようなもので、これをどのように磨き上げてゆく計画かを説明する必要があります。

② 試作品・サービスモデル等の開発における課題が明確になっているとともに、補助事業
の目標に対する達成度の考え方を明確に設定しているか。

→自社の強みの磨き上げにあたり、どのような点が不足しているか、取り組まなければならないことは何か(課題)整理できていること、及びどのようなステップで課題を解決してゆくかが段階的に検討されているか、が問われています。

③ 課題の解決方法が明確かつ妥当であり、優位性が見込まれるか。

→②のステップごとの課題に対してそれぞれ対処策は検討されているか、実現可能性はどうか、解決することで当社の強みの強化に繋がるか、などを網羅する必要があります。

④ 補助事業実施のための技術的能力が備わっているか。

→当社の強みが何によって培われたもので、これをどのように強化・発展させられるか、その可能性や根拠について記述が求められています。

(3)事業化面
① 補助事業実施のための社内外の体制(人材、事務処理能力、専門的知見等)や最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか。金融機関等からの十分な資金の調達が見込まれるか(グローバル展開型では、海外展開に必要な実施体制や計画が明記されているか)。

→単に担当者や取引先が書かれていることも多いですが、どのようなプロジェクトチームでどのように(PDCAが回せるような)計画を実行してゆくのか具体的な記載が欲しいです。
また手元現金不足など財務面での不安要素がある場合は、金融機関との連携状況についても詳しく書くべきでしょう。

② 事業化に向けて、市場ニーズを考慮するとともに、補助事業の成果の事業化が寄与するユーザー、マーケット及び市場規模が明確か。クラウドファンディング等を活用し、市場ニーズの有無を検証できているか(グローバル展開型では、事前の十分な市場調査分析を行っているか)。

→買い手は誰で、どの程度見込みがあるのか、市場からどのようなニーズがあり、どのように答えてゆくのか、具体的な数値や根拠とともに統計データも交えて、市場性について説明することが求められます(クラウドファンディングは任意要件で加点対象です)。

③ 補助事業の成果が価格的・性能的に優位性や収益性を有し、かつ、事業化に至るまでの遂行方法及びスケジュールが妥当か。

→強みを強化した結果、価格的・性能的にどの程度「定量的」に他社と比較して優位性があるのかを記入します。
スケジュールについてもなんとなくガントチャートが引かれていることが多いですが、上記の課題解決段階や市場開拓に対して呼応するものだと良いです。

④ 補助事業として費用対効果(補助金の投入額に対して想定される売上・収益の規模、その実現性等)が高いか。

→投資回収がどれくらいの期間で設定されているか、売上・利益の伸びに無理がなく積算や根拠に基づいたものかなど、計画数値の緻密さが問われます。

(4)政策面
① 地域の特性を活かして高い付加価値を創出し、地域の事業者等や雇用に対する経済的波及効果を及ぼすことにより地域の経済成長を牽引する事業となることが期待できるか(グローバル展開型では、事業の成果・波及効果が国内に環流することが見込まれるか)。
② ニッチ分野において、適切なマーケティング、独自性の高い製品・サービス開発、厳格な品質管理などにより差別化を行い、グローバル市場でもトップの地位を築く潜在性を有しているか。
③ 異なるサービスを提供する事業者が共通のプラットフォームを構築してサービスを提供するような場合など、単独では解決が難しい課題について複数の事業者が連携して取組むことにより、高い生産性向上が期待できるか。また、異なる強みを持つ複数の企業等(大学等を含む)が共同体を構成して製品開発を行うなど、経済的波及効果が期待できるか。
④ 先端的なデジタル技術の活用、低炭素技術の活用、経済社会にとって特に重要な技術の活用、新しいビジネスモデルの構築等を通じて、我が国のイノベーションを牽引し得るか。
⑤感染拡大を抑えながら経済の持ち直しを図り、ウィズコロナ・ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環を実現させるために有効な投資内容となっているか[低感染リスク型ビジネス枠のみ]

政策面については各地方の経済産業局による審査が行われ、計画が政策に沿ったものであるかどうかが判断されます。

加点要素(減点要素)

(5)加点項目
① 成長性加点:「有効な期間の経営革新計画の承認を取得した(取得予定の)事業者」
② 政策加点:「創業・第二創業後間もない事業者(5年以内)」
③ 災害等加点:「有効な期間の事業継続力強化計画の認定を取得した(取得予定の)事業者」
④ 賃上げ加点等:
④-1:「事業計画期間において、給与支給総額を年率平均2%以上増加させ、かつ、事業場
内最低賃金を地域別最低賃金+60円以上の水準にする計画を有し、従業員に表明している事業者」、又は、「事業計画期間において、給与支給総額を年率平均3%以上増加させ、かつ、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+90円以上の水準にする計画を有し、従業員に表明している事業者」
④-2:「被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業が制度改革に先立ち任意適用に取り組む場合」
※ 最大5項目の加点が可能(添付書類点数は最大4点)。
※ 加点項目については、エビデンスとなる添付書類を提出し、各要件に合致した場合にのみ加点されます。
(6)減点項目
過去3年間に、類似の補助金※の交付決定を受けていた場合、交付決定の回数に応じて減点。
※ 平成29年度補正ものづくり・商業・サービス経営力向上支援事業、平成30年度補正ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業、令和元年度補正・令和二年度補正ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業。